私たちの会社は、障害者と健常者がともに働く会社です。でも重い障害を持つ人であっても、決して甘やかすことはありません。障害者と健常者が協力して事業を運営し、仕事を通じて能力向上を図り業績に貢献することが企業の役目だと考えるからです。
ナリス コスメティック フロンティアは、平成17年に、ナリス化粧品の100%出資により誕生した企業です。
昭和7年の創業以来、ナリス化粧品では、企業理念「for others」をよりわかりやすく体現するために、近隣の掃除や道徳学を社員教育に取り入れてきました。
しかし、時は移り21世紀となった今、もっと具体的に私たちの理念を示す方法はないのか? そう考えたナリス化粧品代表取締役社長・
村岡弘義は、障害者が活躍できる「場」の提供を全国のナリス社員に提案しました。
その考えは、多くの社員の賛同を得て、ナリス コスメティック フロンティア設立の運びとなったのです。
「障害者の方への働く場の提供が、慈善事業であってはならない。」
これは、当社設立にあたって、私たちが最も考慮したことです。
すなわち働く場の提供は、生活の糧を得る場所であると同時に、生甲斐を実感できる場でなくてはいけないということです。
企業が、健常者が、ハンディキャップを持つ方々にボランティアを行うのでなく、その潜在的な力を存分に活用し、共に協力して企業としての収益を上げていくことが重要だと考えました。
そのために、設備のバリアフリーを整えると同時に、心のバリアフリーを企業風土として育てていこうとしています。
フロンティア設立当初は手探りの連続でした。
障害者と一口に言っても、その特性はさまざま。体が不自由な方もいれば、心に障害がある方もいます。そして健常者と同じことは出来なくても、逆に健常者にはできないことが出来るという方が、たくさんいることを知りました。
たとえば聴覚障害のある方は集中力に優れ、検品作業などで高い能力が発揮されます。また、知的障害者の方は覚えた仕事は手を抜くことなく作業を続けられます。さらに、車イスの方は自分が動けない分、人を引っ張っていく力がある場合があります。
それぞれの特性を把握し適材適所の役割を与えることで、企業にとっても大事な戦力へと育ってもらう。彼らの能力発揮のため、環境を整えることが私の仕事です。